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June 05, 2004

83年来日公演のNHKによる放映

The Showcaseでも触れたように、ポゴレリチの83年来日公演は、今ではあり得ない話ですがテレビで放映されました。NHKによって83年6月8日東京簡易保険ホール(ゆうぽうと)のリサイタルが収録され放映されたのです。そのときの曲目は、

ハイドン:ピアノ・ソナタ 第46番 変イ長調 Hob.XVI:46
ラヴェル:夜のガスパール(オンディーヌ / 絞首台 / スカルボ)
ブラームス:奇想曲 作品76-2・バラード 作品118-3
ショパン:ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 作品58

でした。このときは更に、前半の終わりのラヴェルと、後半の初めのブラームスの間に、別収録の、蜷川幸雄×ポゴレリチの対談も放映されました。私はこの録画を持っており、実際に自分で観て確認したので、曲目等、間違いはありません。

ところが、きょう、とあるポゴレリチ・ファンの方からのメールで、これとは別バージョンのNHK番組が当時あったことが判明しました。その方の文面によると、その映像では、対談は収録されていないかわりに、曲目が若干多かったそうです。まず、リサイタルの最初の曲がショパンの前奏曲嬰ハ短調作品45になっていて、以降は、この蜷川版と同じ曲目が続くのですが、ショパンのソナタ3番で番組は終わらず、このあと、花束攻めにあうポゴレリチの様子と、更に、アンコールが収録されている、とのことです。そのアンコールの曲目は、

スカルラッティ:ソナタニ短調 L366
スクリャービン:練習曲嬰ヘ短調 作品8第2
スカルラッティ:ソナタハ長調 L104

これらの曲目の83年当時の演奏はほかでは聴けないので、これは大変な貴重版だと思います。

が、私にはひとつ解せない点があります。それは、私の知る限り、この6月8日Aプロによる演奏会では、ショパンの前奏曲はプログラムに無いので、少なくとも本プロでは演奏していない筈なのです。それは当時のリサイタル評を読んでも確認できます。複数のリサイタル評を私は保管していますが、どの記述を見ても、リストアップされた演奏曲目の中に、この前奏曲は記録されていません。一方、ショパンの前奏曲そのものは、Bプロのほうにはあって、6月6日芦屋ルナホールと、10日の昭和女子大学人見記念講堂で弾いています。人見記念講堂での収録と思われる海賊盤にはこの曲が入っています。

これは、一体、どういうことなのでしょうか。別会場の映像でしたら番組としてその部分の絵だけがおかしくなるので、この曲も多分、同じ簡易保険ホールでの収録と考えるべきでしょうが、だとすると、例えば番組の編集で冒頭に持って来られただけで、実際には、アンコールでの演奏だったとか???

ちなみに、その花束攻勢の映像では、ポゴレリチは笑顔で、自らすすんで花束を受け取り、握手までしている様子が、しっかりと残っているそうです。ご覧下さいまし、私、嘘だけは申しませんことよ、黒田恭一先生?

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Comments

こんにちは。
”とあるファンからのメール”を送った本人です。またお邪魔いたしますね。

蜷川対談版の別ヴァージョンの放映された曲目の順番の謎について、よしこさんから指摘されるまでまったく疑問にも思っていなかったのですが、冒頭に演奏されている「ショパン前奏曲嬰ハ短調作品45」をよくよく観てみますと、確かに、編集の痕跡を発見。
ステージのすみに花束らしきものが僅かに映っていました。
よしこさんのご推察どおり、アンコールで演奏した前奏曲を、最初に持ってきたのですね。
全く自然な流れですので、NHKの編集の巧みさに、すっかりだまされました。
ポゴレリチの演奏のテンションは、アンコールでも本プロでも同じだということの証明だともいえますね。
アンコール・ピースは、軽く流して弾く人が多い中で、ポゴレリチは、コンサートが終わるまで、生真面目に演奏する。
まさに、彼らしいと思いませんか?

Posted by: サラ | June 07, 2004 08:24 PM

サラ様!ありがとうございました~!!
なんだか、裏が取れて嬉しかったです。そうですか、やはり前奏曲はアンコールの曲だった模様ですね。

それで違和感のない流れになるというのが、ポゴレリチならでは、という気が私もします。彼にとってアンコールは「オマケ」ではないのですね。登場した最初の一曲から既に完璧な集中で始まり、最後の一曲まで高度な緊張は変わることなく持続している、と。

そう考えると、弾かないときは頑としてアンコールを弾かない訳も、とても納得できます。サービスとして小品のマズルカくらい弾いてもいいではないか、と思うような場合でも、彼は弾かないとなったら弾かない。拍手で何度呼び出されようと、ブラボーだのアンコールだのと大歓声が起ころうと、お辞儀だけですよね。それは、本プロで彼自身が完結していて、今夜はもう、それ以上は同じテンションでの演奏はしない(できない?)、という意思表示だということなのでしょう。

83年リサイタルの映像にそんな裏バージョンがあったなんて、本当に知りませんでした。大変貴重なお話、それにファンならではのご指摘を、どうもありがとうございました!

Posted by: 転勤族の妻よしこ | June 07, 2004 11:19 PM

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