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July 06, 2005

スルタノフ死去

6月30日の朝、ピアニストの、アレクセイ・スルタノフ氏が亡くなりました。35歳でした。葬儀は現地時間の5日午後5時から行われたそうですので、日本時間6日午前10時の今は、既に終了している頃だと思います。

Pianist dazzled at 1989 Cliburn(star-telegram)
アレクセイ・スルタノフ応援ホームページ

私はスルタノフを91年2月に初めて生で聴きました。私が当時なぜ彼を知っていたかというと、ポゴレリチがインタビューでスルタノフに言及していたからです。ポゴレリチは89年から、バート・ヴェーリスホーフェンで自分の名前をつけた音楽祭を主宰し始めましたが、その第1回のゲストのひとりが、この、スルタノフだったのです。非常に良かった・大成功だった、とポゴレリチはスルタノフを誉めていました。

私の聴いたリサイタルでは、まだ20歳くらいだったスルタノフが、爆発的なエネルギーでベートーヴェンの『熱情』を演奏したのが印象的でした。決して体の大きな人ではないのに、圧倒的な演奏でした。

スルタノフは2001年2月、脳出血で倒れ、手術後、幾度かの危機的状況を乗り越え、リハビリに努め、右手だけの演奏ながら、演奏活動に復帰する努力を重ねていました。その間、念願のアメリカ国籍取得が実現し、チェリストの夫人の助力を得て夫妻でのコンサートを行い、また日本のファンの尽力で「アレクセイ・スルタノフ ライブ・イン・リガ」というCDも発売されました。

「倒れてからの彼は、それでも出来ることがある、というメッセージを、皆に伝えたがっていました。『決して諦めてはいけないのだ』と。彼の使命はここに完結したのだと思います」(スルタノフ夫人のコメントより)

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Comments

はじめまして。暖かい記事をどうもありがとうございます。嬉しくなって書き込みさせて頂きました。私は91年の公演に行きそびれているので、とても羨ましいです。
ポゴレリッチは今年いよいよ来日ですね。

Posted by: ymtokyo | July 07, 2005 at 10:18 PM

コメントありがとうございます。大変光栄です。
実は今までこっそりと、幾度も、スルタノフ応援ホームページにお邪魔させて頂いていました。皆様の、スルタノフへの暖かい応援と力強い声援がひしひしと感じられ、応援ページに集う方々の思いを、ひそかに共有させて頂いていました。

ポゴレリチが彼に言及したのがきっかけとなり、私にとりましてスルタノフは、その成長と活躍が大変楽しみな若手筆頭のピアニストとなっていました。なのに、このように早い別れが来ようとは、想像だにしないことでした。

さぞ無念であっただろうと思いますが、その反面、不自由な体になって以降のスルタノフには、きっと、尚更に純粋な音楽への想いや、自分の聴衆へのひたすらな共感が、あったのではないかとも思います。

彼の演奏や言葉を聞くことは現世ではもう出来ませんが、幸運にもかつて彼の演奏会の場に居合わせたことのある者として、私は、彼の記した足跡を決して忘れません。そして、最後まで、その存在を通してメッセージを送り続けてくれたことを、これからも、いつも、思い返していたいと思います。

Posted by: 転妻よしこ | July 08, 2005 at 03:36 PM

1999年、東京出張の際、催される演奏会というコトで聴きました。
感想は↓のとおりです。

http://w2322.nsk.ne.jp/~kiyoto/sultanov.html

そして、今日、当時、BSの「クラシックアワー」を録画したのを思い出し観て見ました。元気ジルシだけでなく、細かなところにも工夫しているのを再発見しました。

Posted by: きよ爺 | July 10, 2005 at 09:38 PM

きよ爺様、ありがとうございました~!
私の聴いた演奏会はもっと以前のものでしたが、きよ爺様のお書きになった文章で、いろいろなことが蘇ってきました。

そう、スルタノフは、本当に動作がシャキシャキ、セカセカと忙しい人で、凄い勢いで出てきてさっとお辞儀したら、もう座って弾き初めて、終わったと思ったらまたさっと立ってぺこっとお辞儀して、・・・というふうに演奏以外のところではとてもシャイな感じがしました。

ですが演奏は輝かしいテクニックの顕示で、若いから抑えきれないところもあったのかもしれませんがとにかく凄い勢いで迫って来るものでした。圧倒的なテンションで客席を支配する演奏でした。

「あと十年したら聴きたい」という一言には私も心から同感で、それが叶わなかったことが、改めて惜しまれてなりません。

Posted by: 転妻よしこ | July 11, 2005 at 08:00 PM

私のBlogへのコメント、及びトラックバック、ありがとうございました。彼の残してくれた貴重な遺産をこれからも大切に聴いていきたいと思います。

よしこさんの日記なども少し拝見しました。介護という重い問題を、明るく描いていらっしゃるのをほほえましく読ませていただきました。これからもいい音楽をエネルギーにして、がんばってくださいね。

それから、「並太毛糸」の事件簿、大爆笑で読みました。お手柄に大拍手です!

Posted by: FioriMotoko | July 12, 2005 at 12:06 PM

FioriMotoko様、コメント下さって本当にありがとうございました!

当Blogに、きよ爺様が演奏会のご感想へのリンクを貼って下さっていましたので、スルタノフに関心のある方々に広く御案内できればと思い、貴Blogからトラックバックさせて頂きました。こちらまでおいで下さって御礼申し上げます。

私の日記もご覧下さって嬉しいです。音楽は本当に私を癒やしてくれていると感じます。昔聴いた曲を、今改めて聴いてみると、当時の状況や自分の気持ちなどが、まざまざと思い出されます。今聴いている曲も、将来、懐かしい思い出になることだろうと思います。

どうぞ、これからもよろしく御願い致します(^^)。

Posted by: 転妻よしこ | July 13, 2005 at 10:15 PM

今更になってしまったのですが、この素敵なエントリーを英語で紹介させて頂きました。本当に素晴らしい記事をありがとうございます。
ポゴレリッチフェスティバルの件、私も最近知りました。89年に、スルタノフがポゴレリッチフェスティバルで演奏した録音を、たまたま耳にする機会があったのですが、スルタノフらしいいい演奏でした。これをポゴレリッチ先生が褒めて下さったのなら、とても嬉しいです。

Posted by: ymtokyo | August 11, 2005 at 10:39 PM

こちらこそ、貴Blogでご紹介頂くことが出来、とてもとても光栄に思っております。ありがとうございます。

89年の演奏をお聴きになったのですか!それは素晴らしい!音楽祭が開催されたのは、ドイツの温泉保養地バート・ヴェーリスホーフェンで、ポゴレリチが第二の家のように愛している場所です。若きスルタノフにもその光景を見て貰うことが出来たのですね・・・(私は行ったことが一度もありませんが・・・)。

Blogのほう、このあとも拝見させて頂きます。"Sultanov, forever!", 私も全く同感です。

Posted by: 転妻よしこ | August 12, 2005 at 06:43 PM

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